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あの頃のはなし / 闇夜に影差す噺も満つ

  • 執筆者の写真: Chisato Mitobe
    Chisato Mitobe
  • 2017年7月2日
  • 読了時間: 2分

タイトルが定まらない作品その2。

「あんやにかげさすはなしもみつ」と読みます。「三つ」と掛けてる。

長谷部君が審神者から夜の寝室へ呼ばれるようになった翌日、つまり二日目の話を書きたかったので書きました。

一日目については「咲き乱れる藤の色」を参考に。

つまり現在から過去を思い出しているという体ではなく、あくまで二日目やその当時に視点を移してどうであったかを書いている話なので、文章や登場人物の心理状態なども「藤の色」を書いた頃になるべく近付けようと努力しました。

それが難しかったのですが。

気を抜くと色々知ってしまっていて、考えたことがあって、且つ全て諦念の下に置いて考えているような長谷部君になってしまうので、とにかく〝ただただ主命を果たす為に従っている〟というスタンスを忘れないようにしつつ何とか完成させました。

その甲斐あって自分でもとても気に入る一作になりました。F65/302(の前半)と同じくらい。竜胆と爛れた椅子には劣る。

当初、話を思い付いた時のメモには「いつのまにか寝室にいて,またも痛く怖い思いをする.混乱する」とありまして、実際ラストはそうするつもりで書いていたのですが、何故か〝長谷部君が全てを受け容れて二日目が終わる〟という真逆な展開になっていました。ううん。

だから本当は三日目以降のことも書くつもりはなかったのですが……どうしてこうなったのやら。

一つ考えられるとしたら、「文章や心理状態を『藤の色』の頃に近付けようとした」と先述しましたが、やはりどうしても現在の二人に引き寄せられて行ってしまったのかな、と。

「藤の色」を書いた頃はただ長谷部君が可愛いとしか思ってなくて、今うだうだと書き散らしているような葛藤のあれこれなどまだ影すらありませんでしたから、今回も初めのうちは審神者をそういう人として書いていたのです。

でも今はほぼ全ての作品で書いているように自分の行為etcに関して葛藤がありますから、それがラストで顔を出してしまった結果がこれなのではないか? と少し思いました。

本当に、あの頃は長谷部君がこれで幸せかどうか、とか自分の行為は異常なんじゃないか、とか頭に浮かぶことすらなくただひたすら長谷部君をミートボールにしたりしていたので。どっちが正常なのか分かりませんが。

今はソーセージが好きです。

 
 
 

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